スケッター・介護との接点

スケッターとは

スケッター(Sketter)というサービスがある。公式ホームページには、次のようにサービス内容の説明がされている。

「スケッター」とは、すきま時間を活用して働きたい、スキルをシェアしたい、という方々と
人手を必要としている介護施設をマッチングするサービスです。

「私も何か人に喜ばれることがしたい」「でも、何をしたらいいのかわからない」
そんな風に思っていませんか?

実は、介護施設では「介護」以外の仕事もたくさんあり、それをすべて介護職員さんが行っています。
お話相手や食事の準備、お掃除、IT業務…。
専門的な知識がなくても出来る、ほんの少しのお手伝いで、大きな笑顔が生まれる事はたくさんあるのです。

あなたの温かい気持ちとスキル、介護施設で活かしてみませんか?

介護には興味がある、しかし仕事として関わるまでには踏み切れない、別の仕事をしていて、その仕事を辞めるわけにはいかない等、何らかの事情で介護との接点を持てない人々は多くいると思われる。

そういった人たちをターゲットに、少しだけでも介護との接点が持てるように考案されたサービスである。ネットで会員登録さえすれば、色々と仕事が紹介される仕組みとなっている。

特徴としては、介護そのものの仕事というよりは、「中国語の通訳ボランティア」「将棋の相手」「利用者との話し相手」等、特に介護の経験や知識がなくても出来る仕事を中心に紹介をされていることである。

介護の現場の雰囲気を感じとるためには、ここで紹介されている仕事を手伝うことで絶好の機会が得られると思う。

介護業界の人材難

介護に対する一般的な考え方

僕が、ケアマネジャーの業務をしていて感じるのが、一般的に「介護」にまつわる現実を、実際に自分やその家族が直面してみるまで、多くの人はよく知らないということである。

介護保険の認定を初めて受けた利用者のところに行くと、まさか自分が介護サービスを使うことになるとは思いもよらなかった、と話しをされることが多い。

例えば小さいころから、家族の中で誰か日常的に介護されている人がいれば、なんとなくイメージは湧くだろうが、そうでなければ、人生の中で介護との接点がなくても不思議ではない。

今でこそ、介護サービスを日常的に利用している人は、知り合いやその家族に一人や二人くらいは普通にいるだろうが、つい30~40年位前はそれほど一般的ではなかったのである。当時は、後期高齢者の絶対数が少なく、また社会的入院として介護を日常から遠ざけてしまう背景もあった。

要介護者が、今まで身近にいなかったとなれば介護についてほとんど考えたことがない、というのも充分あり得ることだ。

そもそも介護について、出来ればかかわりたくないという人も多いのではないか?体力的にきつそうだし、認知症の人とのコミュニケーションや、下の世話をするのは大変そうだし、正直あまり考えたくもない、というように、どうしても介護にはネガティブなイメージがつきまとう。

そこまで思わなくても、差し迫った必要がなければ別に積極的に知りたいとも思わない、と考えるのがむしろ一般的に思える。特に年齢が若いと、周りに介護とは無縁の生活をおくっている人が多いだろうし、仕事、子育て、趣味等、他に時間を優先的に使いたいことはたくさんあるだろう。

僕は、積極的に介護にかかわりたくない、という考え方もそれはそれで一つの考え方なので別に否定はしない。どんな仕事でも向き不向きはあると思うが、特にその傾向が強くでてしまう分野なので、人によっては堪えられない仕事と感じるかもしれない。

ただ介護は、誰もが直面する可能性がある課題である。それも以前より格段に直面する可能性は高くなっている。社会に高齢者の割合が多くなるとは、そういうことである。親の介護は勿論のこと、自分自身が年齢が若くても事故や疾病が原因で介護が必要な生活になることだってあり得る。

仕事として介護をするには敷居が高いし、そこまでする気はない。ただどんなものなのか雰囲気だけでも知っておきたい。そう思っている人には、スケッターのようなサービスは有効に活用できる。

仕事に対する距離感

介護業界は、かなり深刻な人材不足に陥っている。僕の働いている地域でも、サービス事業所の廃業がちらほらと目に付くようになった。利用者の数が足りないからではない。職員が足りなくて事業を継続できないのである。

職員が集まらないのは、よく言われるように賃金が安い、体力的にきついなど、確かに原因は様々あると思う。ただもう一つ大きな原因を挙げるとすれば、非効率的な人材活用が考えられるのである。

前述のように多くの介護サービス事業所では、慢性的な人手不足に悩んでいる。採用活動をして直接雇用する場合もあるが、その余裕もなく人材紹介会社等を利用しながら何とか現場をまわしている現状がある。

人員が安定すればいいが、先ほど述べたように向き不向きが激しい分野でもあるので、仕事が自分に合わないという理由で退職する人があとをたたない。ここは難しいところだが、適度な距離感を保ちながら仕事をしないと、介護をやってあげているという姿勢になったり、逆に義務感だけで事務的な対応になったりと、いずれの場合も長く続かないことが多い。

専従職員の業務負担

さらに言えば、現場で発生する業務を、事業所の職員ですべて対応するところも多い。例えば施設であれば、その業務は直接的な介護だけではなく、レクリエーション、書類作成、掃除、送迎等、多岐にわたる。

もちろん安全面の確保という点で職員による管理は重要である。ただ安全面の確保という名目で、硬直的なルールになって融通がきかない職場も散見される。要するに柔軟性が足りないのである。

しかし何から何まで職員が対応するとなると、普段の業務に余裕がなくなって逆に疲労による事故を誘発しかねない。ただでさえ人員が足りていないのだからなおさらである。

介護とシェアリングエコノミー

介護業界に対する壁

巷では最近、ウーバーイーツカーシェアリングのように、仕事や資産を共有するサービスが増えてきている。介護の現場でも、もっとこの考え方を導入していいはずだし、最も必要とされている分野だとも思うのである。

介護のことがよくわからない、という人が多いのも、何となく介護という業界に壁を感じるからではないか。業界として多くの人に仕事をしてほしい、と思っている反面、参入しやすくなるような配慮がなされていない。

介護の世界を少しだけ覗いてみる機会はあるようで意外に少ない。興味はあっても、いきなり職員として身を投じてみるのは不安が大きい。そんな悩みを、スケッターのようなサービスが解決の手助けをしてくれる。

介護の関係人口を増やす

スケッターの開発者によると、このサービスの目的は、介護や福祉に対する間口を広げ、関係人口を増やすことにある、とのことだ。この考え方は非常に共感できるところである。介護にかかわる人が増えることで、その裾野を広げることに大きな意義がある。専従職員の人数だけにとらわれることなく、専門外の関係者を巻き込んでいくことに着目するのである。

フルコミットしなくても、今持っている何かしらのスキルを活かせる経験ができれば、現場に対して無理なく関与が続けられる。その時間を通して、介護に対する理解も深まる(実際、スケッターを通じて採用された人材は、離職率が低いとのことである)。

そして現場に身を置いてみて、自分が介護に対してどのような距離感を保てるか身をもって体験できる。もちろん仕事として関わらない、という選択肢もあり得るし、もしかしたら違う関わり方を模索できるかもしれない。

受け入れる現場としても助かる。職員の業務負担軽減の効果があるし、人材紹介会社を通さないことで経費の削減にもつながる。関係人口が増えることで横断的なつながりが生まれ、仕事をシェアしていく機運も高まる。インターネットを活用すれば、シェアリングエコノミーは、今後、充分成長の可能性を秘めている分野である。

介護という誰もが直面せざるを得ない課題を、今後社会としてどう対応していくか。すでに待ったなしの状況にあると思うが、既存の制度に丸投げしていても明るい未来はない。社会全体で取り組むべき課題である。介護業界という垣根を壊す、くらいの意気込みが必要とされているのだ。

 

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