ストレングスファインダーとコミュニケーション論

ストレングスファインダーとは

自分を客観的にみる視点というのは大事である。しかし自分はこういう人間だという思い込みもあって、必ずしも自分の能力を正確に認識してないことも多い。

自分の能力を客観的に分析するため「ストレングスファインダー」というツールがある。

ストレングスファインダーは、ギャラップ社が40年にわたって行ってきた「人間の強み」に関する研究に基づいて人々に共通する34の資質を言語化し、それを発見するために開発された。177問の質問に答えることで34種類の資質の中から自分を特徴づける資質を知ることが出来る。

ちなみの以下の表は、その34の資質を示している。

ストレングスファインダーをを受けると(有料)、傾向として持っている自分の資質を強い順から1番から34番まで提示してくれる。

いわゆる性格判断の類の診断ではなく、提示されるのは、あくまでその人の資質であって、その人の性格や能力ではない。

「資質」はその人の持っている特徴や才能といってもいい。その人が元来得意とする思考や感情、行動のパターンである。だからといって、必ずしもその資質があるからイコールで優れた能力を持っているということではない。資質を活かすためには、経験や訓練など適切な「投資」が必要であり、資質が適切に活かされると、その人の強みである「能力」となる。

逆に言うと、せっかくの資質を持っていてもその資質が充分に活かされていないならば、能力が低いままということもあり得る。

もう一つ言えることは、同じ投資をするならば、強い資質を伸ばすほうが、弱い資質を伸ばすより圧倒的に能力は伸びやすいということである。

診断結果の印象

以前、僕もストレングスファインダーを試したことがある。

結果は、1位から5位までの資質が「着想」「未来志向」「収集心」「原点思考」「分析思考」と戦略的思考力の分野に偏っていた。そして1番低い資質が「コミュニケーション」であった。

はじめ結果を見たときショックはなかった、といえば嘘になる。トップの資質よりラストの資質にである。

何せコミュニケーション能力といえば、世の中で必要とされる最重要能力と思われているイメージがある。大抵企業面接等で人事担当者の求める人物像の筆頭に挙げられるのが、コミュニケーション能力である。

そのコミュニケーション能力が、ストレングスファインダーで1番ビリ!と宣告されてしまった。ストレングスファインダーといえば、全世界で1700万人以上の利用実績がある歴史も信頼もあるツールである。お金払ったから、真面目に質問に答えたので言い訳はできない。34も資質がある中で、よりによって1番ビリ!!である。大丈夫か俺?と思ったのである。

コミュニケーション能力とは

送られてきた診断結果をよく読みこんでみると、ストリングスファインダーでいう「コミュニケーション」が世間でいうコミュニケーション能力とずれがあることが分かる。次の文章が、ストレングスファインダーによるコミュニケーションの定義である。

「コミュニケーション」の資質が高い人は、一般的に自分の考えを言葉に表すのが得意です。話術に優れ、物事を印象的に説明するのが上手です。

どちらかというと、言いたいことを言語化して人に表現する、という意味合いで使われてる。「表現する」能力をポテンシャルとして持っていますよ、ということである。

世間一般に使われている「コミュニケーション」には人間関係にかかわる全方位的能力が含まれているように思える。コミュニケーション能力があれば、人間関係をスムーズにこなせ、友人も多く、一般的に仕事もできると考えられがちだ。逆にそれがないと「コミュ障」というネットスラング的な言葉があるように、まるで人としての能力に大幅な欠陥があるかのような捉え方をされることがある。

しかしそれではコミュニケーションという言葉を、あまりにざっくりととらえすぎである。考えればわかることだが、人との関係性を育むにあたって、言葉を上手く話せることだけが重要なわけではない。

相手の話しを聞く能力であったり、気持ちに共感する能力、信頼を得る行動力であったり、自らを省みる思考力であったり様々な能力を駆使しながら関係性を作り上げていくのである。それらの能力は、本来であれば全く別の指向性を持つ能力だったりするのだ。

したがって、いわゆる「コミュニケーション能力」を考える時、きちんと細分化してとらえることが重要である。そしてどの能力が伸ばしやすいかそうでないかは、自分の資質を知ることで効果的に適切な資質に投資することが出来るのである。

診断結果の活用

世間一般でいうコミュニケーションを「広義のコミュニケーション」、ストレングスファインダーでいうコミュニケーションを「狭義のコミュニケーション」と呼ぶとしよう。

僕の診断結果で言えば「狭義のコミュニケーション」の評価はあながち間違いではない。自分の言語化能力は著しく低く、特に会話では苦労することが多い。頭の中にある考えが上手くまとまらず、人に説明しても伝わらないことはしょっちゅうある。

ただし文章で表現するのは、上手い下手は抜きにしてそれなりに出来る。文章は時間をかけて何度も練り直しがきくからだ。なので「狭義のコミュニケーション」とは当意即妙を踏まえた会話力、スピーチ力のようなものをいうのだろう。

そんな僕でも「広義のコミュニケーション」は苦にならない程度には日々こなしている。そうでなければ人間関係の構築を業務の中心とするケアマネジャーという仕事を10年以上も続けられはしない。確かに、関係性を築くにあたって負担に感じる時は多々ある。かといって、一切それを遮断しようとも思わない。

心理的負担は負担と感じつつも、人間関係のやり取りの中で、相手の人物像であったり関係者を観察して得られた様々な知見がある。それを得る原動力が僕の中にある好奇心だったり、物事を理解したいという欲求だったりするのである。僕のこういう考え方は、おそらく思考力系の資質を持つ自分だから成り立つのであろう。

自分の資質を理解することは、戦略的にそのリソースを活用する際に役立つ。例えば僕が「狭義のコミュニケーション」能力を伸ばそうと思って挑戦しても、あまり効率的ではない。1ある能力を3くらいに伸ばすことは何とか出来ても、そこから10を目指すのは現実的ではないし、苦しさを感じるだけである。

周りには自分よりその資質が高い人がたくさんいるのだから、その土俵で努力しても苦労するわりには効果は薄いのは明らかである。そうであれば自分が得意な資質を活かしたほうが、ずっと生きやすいはずだ。

繰り返しになるが、自分が得意とする資質を客観的に理解しておくことは重要である。ストレングスファインダーは、その一助となるツールになり得る。

このブログでも様々なかたちで述べているように、これからの時代は今までのレールに乗っかるだけでは何かと生きづらくなると思う。であれば自分を知り、戦略的に行動する必要がある。そして何よりも資質を伸ばして自分自身の特色を活かして自分らしく生きる人が増えて欲しいし、僕もそうありたいと願うのである。

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