プログラミング教育はいらない・所感

プログラミングとは

「プログラミング教育はいらない」という本を読んだ。なかなか挑発的な題名だが、著者はあえてこのようなネーミングにしたかったとのことだ。世の中では情報システムがあらゆる場面で浸透し、プログラミングの有用性が叫ばれるようになって久しい。一見、プログラミングを学ぶと仕事や就職の上で有利なのでは?と思う向きもあると思うが、実際はそう単純な話しではないらしい。

一般的にプログラミングとは、コーディング(コンピューターが理解できるプログラミング言語に翻訳)する作業を指す。なので具体的に言えばプログラミング教育は、java、C言語、PHP、HTML/CSS等のプログラミング言語を学ぶことと思われがちだ。

もちろんプログラミング言語自体は学んでおいて損はないだろうが、もっと本質的なことは、プログラミング的思考であって、それを教育の中に盛り込むことが大事だと筆者は述べる。

プログラミングに至る過程

プログラミングに至るまで、一般的に次のような過程を経るそうだ。

①お客の悩みを聞く

②悩みの本質を洞察、分析し、解決策を立案する

③解決策のうち、情報システムでやるべき部分を抽出する

④やるべきことのざっくりとした設計図を作る

⑤設計図を、詳細な設計図や日本語(英語等)による指示に細分化する

⑥それをコンピューターにとってちょうどいいサイズに細分化する

⑦その指示をコンピューターが理解できるプログラミング言語に翻訳する(←ここが一般的に言われるプログラミング

上記の一連の作業は、分業されることが多く①〜③あたりをシステムアナリストやコンサルタント、④〜⑥あたりをシステムエンジニア、⑥⑦あたりをプログラマーが担っている。

プログラミングに必要とされる能力

いずれ過程もプロジェクトには必要な作業であるが、どこが重要かといえば①~③辺りの最初に位置する過程であろう。初めの方向性が間違えば、後の過程は修正がきかないからである。

かといって①〜③を担当する人が⑦の知識を知らなくていいかといえば、そういうわけではなく当然知っておいたほうが何かと有利である。具体的なコーディングの作業を知っていると顧客や相手のニーズのどこに対応できるか、どのように対応できるかがきちんと理解できるからである。

学校教育の場面では、コーディング技術そのものを単純に教えるのではなく①〜⑦全場面を想定した教育が必要というのが著者の主旨である。例えば英語教育にしても、単に単語や文法の暗記だけでは無味乾燥なのと同じことで、英語で「何を伝えたいのか」「何を知りたいのか」という意識があったほうがずっと学習効率は高いのである。

「コンピューターは論理でしか動かない」「プログラミングは問題解決の手法である」「システムプログラミングはチーム作業である」等々の事実を鑑みると、論理的思考能力問題解決能力、プロジェクトマネジメント能力コミュニケーション能力等を身につけることが、プログラミング教育における視点の重要ポイントだということである。

むしろプログラミングは、それらの能力を育む絶好の機会になり得ると筆者は述べている(本の題名の意味は、狭義のプログラミング(コーディングの教育)教育しかしないということならば、それは無意味ということである)。

介護との共通性

こうやって見ると、プログラミングは介護ケアマネジメントと非常に共通性があることに驚く。上記の過程でいえば①インテーク②アセスメント③④ケアプラン作成と、そのまま書き換えても通じるくらいだ。アセスメントが、最重要過程と言われるのも、後の具体的なケアが的外れにならないためである。

プログラミングと介護。一見すると仕事内容がかけ離れているようだが、求められる能力は似ているのかも知れない。単に機械的な作業は、AIに代替されつつあり、「HOW(どうやってやるのか?」よりも「WHAT(何をやるのか?)」という思考法が価値をもつようになってきている。

とはいえ介護の現場では、現場感覚であったり、経験(暗黙知)が幅を利かせている場面は多い。それらの力は勿論必要であるが、プラスアルファで論理の裏打ちがないと、専門性が積み重ならない。ケアの内容を他者に伝えていき体系化していくことで、介護の質を向上させることにも繋がる。

そのためには論理的思考能力が必須である。プラグラミングを学ぶことで論理力も磨けるので、様々な専門分野で能力を発揮できるを力を身ににつけられると思う(ちなみに創造性や発想力を基にしたアート的(芸術的)思考も重要ということを以下の記事にまとめてある)。

プログラミング教育は、子供だけが対象ではなく、現場で働いている大人にも有用である。ましてや今後、どの業界でも情報システムはますます業務と密接化することが予想され、重要性が増すことは間違いない。

この本は、お子様をお持ちの方だけでなく、プログラミングを自ら学ぶことに興味を持つ方であれば、その概況を示してくれる良い手引きになると思う。

 

 

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