ベースの魅力を語る

バンドにおけるベースの魅力

最近、自分が趣味でやっているバンドで、人前で演奏する機会があった。人前で演奏するのは、いつもと違う緊張感があり、上手く出来たかどうかは別として、とても楽しい経験だった。

そう考えると何か楽器を演奏出来ると、今後の人生において少なからず潤いや楽しみが増える。中高年になると今さら楽器なんてと思うかもしれないが、趣味なら別にいつ初めても遅いということはないと思うのである。

僕はベースを本格的に初めたのが40を過ぎてからであるが、お遊びのバンドで音を合わせる程度の技術は充分に会得することが出来た。僕は決して手先が器用なほうでもないし、ムチャクチャ練習に時間を費やしたわけではない。でも楽しめる程度には演奏できるようになったのは、「ベース」という楽器のおかげであると思っている。

しかし世の中には、ベースは地味というイメージがなんとなく定着しており、正直、ギターやドラムに比べて人気がないのは否めない。ただしである。ことバンド演奏を楽しみたいということであれば、僕はベースも悪くない、いやむしろ強くお勧めしたい、と思うわけである。

もちろん何をやりたいか、という気持ちが最重要なので、その気持ちを第一にしたらいいと思う。例えば一人で弾き語りを出来るようになりたいならば、ギターやピアノのようにメロディーと伴奏を一緒に奏でられる楽器がいいと思うし、シンバルを叩くのが気持ち良さそうだと思うならばドラムをやってみればいい。

でもバンドをやってみたいけど、どの楽器がやってみたらいいか、いまいちわからない。そんな人たちにベースを選択肢の一つとして検討してみてもいいのでは、ということを今回は述べてみたい。

初心者にやさしいベース

まずその理由の一つとして挙げられるのは、習得が他の楽器と比べて簡単だということである。あまりおおっぴらに言うのは世の中のベーシスト達に、はばかられるが、まあぶっちゃけ事実である。

僕はピアノとギターを少しかじったことがあるが、ベースとは音の出し方に根本的な大きな違いがある。ピアノとギターに共通するのは、和音ありきということである。要するに同時に複数の音を鳴らすことが前提なわけで、それだけ指の動きが複雑になる。それと比べてベースは基本単音である。弦を1本押さえて、ボンボンボンと鳴らせば大体OKである。複雑なコードを覚えなくても、いざとなったらルート音を押さえとけば何とかなる。

もちろんベースにもスラップやロータリー奏法のような難しい技術はある。でも僕が言っているのは、オーソドックスなRockに求められる技術である。プログレだとかスラッシュメタルのようなジャンルでないかぎり、そんなに卓越した技術を求められるわけではない。そして世の中のアマチュアバンドは、大体オーソドックスなRockを演奏するのである。求められる基本ラインをきっちり抑えれば、即戦力として貢献できるのである。

ベースは4本の弦のチューニングが規則正しく並んでいる。ギターのように2本だけズレているチューニングにはなっていない。実にシンプルである。なのでスケールを弾くのも覚えやすい。ギターはコードの押さえやすさを重視しているため少し変則的な音の並びになっている。そういう意味では、ベースは初心者にとっては非常に易しい楽器である。

もう一つベースのメリットを言うと自宅練習のしやすさである。ギターもこれは同じだが、アンプに繋がないでヘッドホンを使って練習すれば近所迷惑にはならない。その点ボーカルとドラムは、特に日本の住宅事情を考えると、練習するのに場所を選ぶ必要がある。

ベースのバンド内立ち位置

もう一つ、バンド内のベースの立ち位置を、特にギターと比較して考えてみたい。多くのバンド内で花形のパートとして目立つのはボーカルとギターである。ギターの人気があるのは当然で、それだけ上手な人が多いし競争相手も多いのである。なので初心者がその一角に食い込むのは、そこそこ大変だよ?と思うのである。ベースは、ギターほど人数がいないから、それだけ重宝されるのである。

それはさておき、なぜベースよりギターが人気があるのか深掘りしてみたい。ベースは低音でリズムを刻み、ギターはメロディーを奏でるといった役割の違いがある。さらにほとんどの曲にはギターソロがあったりして、確かにギターは注目を浴びやすいパートである。それに比べてベースは「ベースソロのような目立つパートがない」「そもそも聞こえない」というように、イメージとして地味である。

しかし曲の構成からしたら、どのパートも同じ位重要なのである。オーソドックスなロックの編成でいったら、ドラムとベースが土台を築き、その上でボーカルとギターが縦横無尽に音を奏でる。より細かく言うと、ボーカルが主旋律を歌い、ギターは曲全体を装飾するといったほうがより役割としては正確かもしれない。ギターは音としては目立つが、意外と役割としてはサポート的な部分が求められているのである。であればベースもサポーティブな立ち位置として同じように頑張っているのである。

そもそもベースの音が聞こえない、との意見があるが、一般的にベースラインなんぞ追って普段意識して聴かないからである。よーく聴いてもらえばわかるが、ベース音は曲の要素として非常に重要である。特にロック系のライブにおいては、低音のうねりを爆音でながして、全体の迫力やグルーブ感を生みだしているのである。ベース音がないと、かなりスカスカな音圧に感じるはずだ。

実際のところギターがミスをしても、ギターがコケるだけだが、ベースがミスをするとバンド全体を巻き込んで壮大に崩れやすい。シンプルな音であるが、重要度が高い。楽して目立つのである。というより演奏している側の感覚としては、部分部分で目立つというより曲の初めから終わりまで屋台骨を支えているという意識でいる。バンド演奏をしているという一体感を得やすいポジションだと思うのである。

以上、僕が実感しているベースの魅力をいろいろと述べてみた。もちろんいろいろな楽器を試してみて、一番しっくりくるものを腰をすえて楽しめばいいと思う。繰り返しになるが、バンド演奏の楽しさを早く実感したいなら、入り口の楽器としてベースを選択するのもアリだと思うのである。

 

 

 

 

 

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