
メタリカの超名盤「master of puppets」が世にでて、もう30年以上経つ。このアルバムにはbattery やmaster of puppets等そうそうたる代表曲が含まれているが、その影に隠れて目立たない存在のorionというインストナンバーがある。
何よりもこの曲は、ベースがフィーチャーされているのが特徴的である。悲劇のベーシスト、クリフ・バートンが関わった最後のアルバムから、彼の特色が色濃く反映された名曲だ。クリフが在籍していた頃のメタリカはまさに神がかっていた。特に「master of puppets」と「ride the lightning」の完成度は目を見張るものがある。クリフがどの程度、作曲にかかわっていたのか知る由もないが、その後のメタリカの作品群を聴くと、彼の存在は、バンド全体に対する影響力がとても大きかったと僕は感じてしまう。
Orionでは、イントロから歪みの凄まじいベースが奏でられ、その上に印象的なギターリフが次々と繰り出される。メタリカの楽曲(特に初期)は、複雑な展開に特徴があるが、決して不自然ではなくリフの変わり目や転調がとてもスムーズで、自然に最後まで飽きなく聴ける。何気に曲の途中に挟まれるベースのメロディがいいアクセントになっており、なくてはならない構成要素となっている。ベース音がほとんど聞こえない「and justice for all」の楽曲群とはえらい違いである。
クリフ亡き後、ライブでこの曲が演奏されることは、ほとんどなかったが、ある時期からライブで時々披露されるようになった。調べてみると2006年のサマーソニックかららしい。ロバート・トゥルージロが加入したのが2003年だから、それが何かメンバーの心境に変化をもたらしたのだろうか。
しかし、このロバート、はじめ目にした時、ゴリラみたいな風貌で、なんかメタリカに合わないなぁ、と勝手なことを感じていたが…。腕は確かである。動画をみても曲の素晴らしさををきちんと再現しているのがわかる(ラーズ太ったね😭)。観客が歌詞がないのに合唱しているのが凄い。意外にこの曲好きな人多いんじゃないか?きっとロバートの存在が、orionをもう一度陽の目にあたるポジションに意図的ではないにしろ、引き上げてくれたのかもしれない。