人間 論考 人生の羅針盤(6) 2021年4月29日 今回のシリーズ全編を通して、人生の軸を組み立てるための思考の枠組みを提示してきた。その試みが、成功したかどうかは読者の判断に任せるほかない。ただ自分としては、文章を書き連ねたことで、自分の頭の中をそれなりに整理することが出来た。そういう意味において、僕自身にとっては意義のある挑戦だったと言える。 シリーズの冒頭において...
人間 論考 人生の羅針盤(2) 2021年1月31日 生命の炎 以前の記事で、炎を生命のエネルギーとみたてて論じたことがある。 その際、人生とは、エネルギー源を燃やし尽くす過程だと述べた。いかに自分らしく命の炎を燃やすか、というのがその記事のテーマだった。 炎が人のエネルギー源という定義は、そのまま踏襲したいが、今回は、まず炎の形に注目してみたい。ある人の生命が、【図1】...
人間 論考 人生の羅針盤(1) 2021年1月20日 思想家 西部邁 僕が、西部邁(にしべすすむ)という評論家の文章に初めて触れたのは、二十歳の頃だったと思う。書店で何気なく手にとったムック本は、世の中の常識を疑え、というテーマで、様々な執筆者が、政治や経済にまつわる持論を展開していた。 大学生だった僕は、何か政治的思想に傾倒していたわけではない。むしろ政治談議には、ほと...
介護 新型コロナウイルスと死生観(前編) 2020年12月12日 年代別重症化率と死亡率 厚労省発表データ 厚生労働省は、11月27日に新型コロナウイルス感染症に関する現在の状況とこれまでに得られた科学的知見について、10の知識としてとりまとめ、ホームページで公表している。 →新型コロナウイルス感染症の“いま”についての10の知識 その中で、重症化する割合と死亡する割合を、年代別に次...
介護 本当に国にお金はないのか?(5) 2020年8月22日 社会保障制度の財源に対する考察 今回のシリーズで論じた国の財源について、社会保障制度、特に介護業界が置かれている状況を通して、復習の意味もこめて、シリーズの最後に、まとめておきたい。そもそも僕の疑問の原点は、社会保障の財源不足から発しているので、それに対する考えをある程度形にしておきたいのだ。 少子高齢化と制度の硬直化...
介護 本当に国にお金はないのか?(4) 2020年7月27日 介護の現場からみる財政問題 これまで3回にわたり、国の財源と経済の状態をMMT(現代貨幣理論)に基づいて論じてみた。 経済については自分自身の理解が足りないこともあって、分かりにくい記述になっているかもしれないが、国の財源について一つの視点の概略は示せたのではないか、と思う。 介護の専門家である自分がなぜ国の財源やMM...
介護 pickup 本当に国にお金はないのか?(1) 2020年6月15日 介護保険とお金 昨今のコロナ禍によって、国にとって不都合な真実な明るみになりつつある。すなわち財政破綻にまつわる話しである。 以前の記事で、介護保険制度を切り口に、社会保障をめぐる現状と問題点を述べた。 記事の主旨は、社会保障に対する国としての理念が迷走しているため、制度自体が自己肥大化して国民の生活を脅かしつつあり、...
介護 作品 認知症を知る3つの作品 2020年3月31日 認知症の理解を深めるには ここのところ認知症をテーマにした記事を書いてきた。 前出の記事は、認知症ケアに関する視点や心構えについて書いたが、認知症そのものについて、詳しく述べているわけではない。 認知症について知るには、その現場に実際に関わらなくても理解することは可能である。もちろん、直接交流の機会をもてば、肌感覚で理...
介護 誰のための認知症ケアか(後編) 2020年3月26日 認知症ケアの根幹 多面的な視点 認知症ケアで重要なのは、認知症をもつ人の視点を理解するということである。その理解には、人はそれぞれ違うという個別性を意識する必要がある。 さらに、一人ひとりに対して多面的に理解していくという姿勢が求められる。認知症は、脳の機能が不可逆的に失われるという医学的な要因のみならず、性格、生活歴...
介護 誰のための認知症ケアか(前編) 2020年3月15日 認知症に対する理解 今回テーマにあげるのは、認知症ケアについてである。 認知症そのものについてというよりは、認知症のケアはどのようになされるものなのか、何のために、どのように、そして誰のために実践されているのか、という点について述べていきたい。 認知症ケアにおいて、最も重要なことは認知症について理解するということである...